記 念 講 演  

木村草太さん（東京都立大学大学院　法学政治学研究科教授）

1980年神奈川県横浜市生まれ。東京大学法学部卒業。専門は憲法学。

 

　多様な個性を持つ子どもたちが、初等中等教育を受け、自律的な個人へと成長する機会を与えられることは、個人の尊重原理（憲法一三条）を実現する必須の前提だ。すべての子どもに教育を受ける権利を実現するには、多様な個性に応じた教育の選択肢が存在していなければならない。

　しかし、学校内部の慣行や力関係により、個人の尊重の理念がないがしろにされることも多い。近代法の出発点は「閉鎖空間の権力は、信じられないほど残虐になる」という認識にある。

学校に関する法原理を探求し、より適切な解決を導くことを主題とし、本講演の目標を学校への近代法原理のさらなる導入と定めたい。